day5. 恐怖のサグラダファミリア

朝、洗濯物は見事に乾いていた。もう預けた荷物に何を入れていたかすら思い出せないくらいだ。
ひげをまったく剃っていないので、そのざらざらした感触に非常に違和感がある。このまま伸ばしたらどうなるだろうかと一瞬考える。
朝食後、全員でカンプノウに向かう。でスタジアムツアーに参加した。ツアーといっても誰かが案内してくれるわけではなく、ある一定のコースに沿って自由に見てまわれる。ロッカールームなど、様々な部屋を見てまわり、フィールドの高さから3階席まで、あらゆる視点に立ってスタジアムを見回すことができて実に面白かった。3階席は、ピッチ全体を見下ろすような感じで、サッカーゲームでひょっとしたらあるかもしれないような神の視点だった。それにしてもなんて巨大な建造物なんだろう。

060306noucamp.jpg
晴天のカンプノウ・スタジアム

ツアーの最後はミュージアムだ。100年以上の歴史があるので、展示されている資料の数も膨大だ。キャプテン翼もちゃんと展示してあった。フジワラ氏はとりあえず昼食のために外に出てきたものの、あと何回でも、何時間でも見てそうな勢いだった。これほど目が輝いている彼を、かつて見たことがあっただろうか。

マリア・クリスティーナ駅まで行き、適当な店に入って昼食を取る。普通のメニューがでてきたので、セットメニューはないかと尋ねると別のメニューを持ってきてくれた。料理2品に飲み物、デザートがついたものがあったのでそれにする。が、全部スペイン語で分からない。すると、店員が親切に片言の英語で1つずつ説明してくれた。説明といっても、リゾットだ、牛肉だ、ラムだ、とかそれくらい。でもそれで十分だった。ちなみにスペインで「パン」といえば、日本語のそれとまったく同じ意味で通じる。

ゆっくりと昼食をとり、またカンプノウ・スタジアム班と観光班に分かれる。彼らはまったく市内観光をやらないつもりだ。潔すぎる。観光班は、地下鉄でサグラダ・ファミリア駅に向かった。駅から外へ出る階段を上がると、いきなり視界に巨大な聖堂が飛び込んでくる。思わず声をだしてしまった。着工から120年たって、今なお建設中というから、これは大変なことになっている。

入場料を払って、建物に近づく。外に膨らんだり、突き出たり、中に入り込んだりしつつも、ぎっしりと彫刻が施されていて、気が遠くなるような作業の積み重ねだ。人の手によって創造されたもののあまりの量の多さに圧倒される。内部の柱は木の枝のように先が割れていて、巨木の森のようだ。

060306pole.jpg
サグラダファミリアの柱

エレベータで上まで昇れるらしい。乗るための行列もなく空いていたので、係員に2ユーロ払って昇ってみることにした。どうせちょっと上のほうまで行って、展望台みたいになっていてそれで終わりだろうと思って昇ってみたら、えらく高いところまで上げられてしまう。さらにらせん階段を上っていくと、さっき外から見ていた鐘楼の先のところまで来てしまった。高すぎる。
塔の中はまだいいとしても、塔と塔を結ぶ空中廊下が、外界に対してむき出しになっているので、渡るときがめちゃくちゃ怖い。なんでお金払ってまでこんな高いところに昇らなきゃいけないのだ。みんななぜか楽しい楽しいと身を乗り出している。みんなどうかしている。しかも、もう降りようといってるのに、僕を後ろから突いたりして、最悪な連中だ。

060306sagradafamilia.jpg
高所なのに涼しげな顔をしている4人

エレベータでようやく地上に降りる。変な汗をかいた。だまされた。
裏側の構造がまた素晴らしい。どこをどこから見ても、もの凄いエネルギーを感じる建物だ。地下には資料展示もあって、見ごたえ十分だ。

続いて、街中にあるガウディの建築物を見てまわる。カザ・ミラ(ミラさんの家)の近くで例のコルタド。砂糖をどれくらい入れればいいか迷っているキヤ氏に、オカムラ氏が一言。

060306cortado.jpg
「全部入れればいいんじゃない」

続いてカザ・バトリョ(バトリョさんの家)の内部見学に。入場料が高くて入るべきか迷う。結局何人かは入り、何人かは外で待つことになった。その奇抜な外観と同じく、部屋の壁も、窓も、階段も曲線だらけだが、意外に住みよさそうなところだったのが印象的だった。

夕食はまたミケル・エチャになった。試合の日、注文しすぎてしまったあの店だ。小イカのフリット、タパスをいくつかと、ポテトを頼んで、さらにイカスミごはん(arroz negro)をなんと4人前も頼んでしまう。絶対後悔するとみんなが言っているところに、想像を絶する大きさのパエリア鍋が現れた。
あまりに巨大すぎてみんな笑うしかなかった。なかには笑いが止まらなくなる人もでた。それでも、サングリアを飲みつつ、レモンを絞ったり、塩をかけたりしたりして少しずつ食べているうちに、なぜか全部なくなってしまった。スプーンも、皿も真っ黒だ。さすが日本人。米となると強い。

060306arroznegro.jpg
4人前のイカスミごはんを食いきった

夜9時過ぎ、ホテルに戻り、満腹感と疲労感で倒れるように眠る。荷物はまだこない。

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: day5. 恐怖のサグラダファミリア

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.spacelogue.com/mt/mt-tb.cgi/98

コメントする

[ad]