day4. コルタドの国

日曜日。朝9時に朝食。みんな昨日の興奮が覚めやらぬ様子だ。
フロントの人に荷物について電話で問い合わせてもらう。スペイン国内のことは、スペイン語で聞いてもらったほうがはっきりするだろうと思ったのだ。ところが、問い合わせ窓口に電話がつながらない。仕方なくあきらめて、出発。この日7人の旅団メンバーは、もっとサッカーを見たい派と、市内を観光したい派に分かれて行動することになった。

観光班はまずサンタ・カテリーナ市場に向かった。カテドラルの近く。2005年にオープンしたばかりの新しい市場のようだ。屋根がカラフルで、カーブが美しい。ヨシオカ氏と僕は、まるで京都の二条駅のようだと言っていた。日曜日なので残念ながら市場はお休み。後から知ったのだが、この市場、正面だけではなく、裏側の構造が面白いらしい。その時は、そこまで頭が回らず、表側だけ見て立ち去った。

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サンタ・カテリーナ市場

次に、すぐそばのカタルーニャ音楽堂を外から見る。モザイクタイルの装飾、彫刻が美しい。内部が圧巻のようだが、その見学ツアーはかなり待たなくてはならないということで断念。
続いて港のほうに向かう。もう少し歩けば海かというところ、コロンブスの像のあたりで激しく雨にやられる。残念ながら、僕の傘はまだドイツにある。このまま雨に打たれながら歩き続けるのも辛いので、ちょっと早かったが、近くのレストランに入って昼食とする。サラダ、パエリヤ、ラザニアなど注文する。注文したスパゲティは期待通りゆですぎだった。イタリアはすぐそこにあるというのになぜなんだ。

さて、食後はもちろんコルタドだ。エスプレッソに牛乳を少し加えたような、小さいカップで出てくる飲み物。みんなでコルタドを注文する。この旅行、毎日コルタドを欠かさず飲んでいた気がする。僕がコルタドを注文したらみんな俺もそれ、と言ったのかなんだったか、きっかけは忘れてしまったが、気がついたらみんなコルタドを注文していたという、そんな旅だ。旅行中、他は全部英語で通すのに、コルタドの注文だけ「クアトロ コルタド ポルファボール」とか、スペイン語を使っていた。

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コルタドとキヤ氏

旅行中はかなり歩くので、コルタドには必ず砂糖を一袋入れていた。体が求めるのだ。日本ではあり得ない。キヤ氏は初めの頃はためらっていたが、やがて疲労回復に大変良いと気づき、後半では素直に砂糖を入れて飲んでいたようだ。コルタドを飲みつつ、雨がやや収まるのを待って店を後にする。

ここでみんな疲労もたまってきていたし、スペインでは昼寝が基本ということもあって、一旦ホテルに戻ることにした。フロントの人にまた電話をかけてもらう。ちょっと不安に思ったのは、昨日適当に書いたホテルの名称だった。係員に正しく伝わっていなかったらまずい。そこで、荷物は届いているのか、荷物の届け先としてこのホテルが正しく登録されているか、の2点について尋ねてもらうことにした。
すると、まだドイツが雪で、荷物はまだ空を飛んできてないが、ホテルは正しく登録されているということが分かった。

夕方、地下鉄でゴシック地区に移動する。日本の地下鉄では、あとどれくらいで電車が来るかという情報を、前駅に停車中とか、前駅を出たとか、そういう表示で済ませているところが多いが、バルセロナの地下鉄では、あと何分何秒で電車が来るというのが常に表示されている。1秒ずつ減っていくので分かりやすい。電車が遅れると、途中で増えたりもする。

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日本の地下鉄も真似してはどうか

クラシックギターのコンサートを聞きにピ教会に出かける。チラシに「The best guitarist on spanish music of the world」とかかなり思い切ったことが書かれていたので、以後、僕らの中でこの演奏家は「オブ・ザ・ワールド」と呼ばれることになった。人の呼び方としては、あまりお勧めできない。

夕暮れ時のゴシック地区は素晴らしかった。写真を撮りつつ歩き回り、教会の近くのカフェでワッフルを食べてから教会に入る。

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夕暮れの城壁

7時半開演。聞きなれたギターの名曲も、教会の中で聞くと全然違って聞こえた。なんてぴったりくるのだ。教会が地域の中に普通にあるという、こういう文化背景があって作られた曲なのだということを、改めて実感した。アルハンブラ宮殿の想い出、アランフェス協奏曲、グラン・ホタなど、すべて挑戦的に速く弾く人だったが、教会の中は冷え切っていて、長居するのが厳しそうだったのでちょうどよかった。途中シンセサイザーも入って、観客を飽きさせまいと必死だった。音楽はそれが生まれた国で聞くと何倍も違って聞こえることを実感した。僕は、雰囲気に弱い。なんてことない曲で泣きそうになる。

夕食で全員合流する予定だったが、クロイ氏は体調を壊し途中でホテルに引き返した。レイアール広場の安くてうまいと評判の店、ラス・キンザ・ニッツ(las quinze nits)に向かうが、もの凄い行列で断念する。目当ての店での夕食は開店と同時に向かわねばいけない。仕方なく、ランブラス通りで見つけたピザ屋に入る。体が冷えたので、スープを頼む。赤ワインに数種にのフルーツを漬け込んだサングリアという飲み物を飲みながら、ピザも食べる。かなり軽めの夕食となった。寒さの影響もあって、みんな弱り気味だ。

ホテルに戻る。荷物はまだこない。
機内でもらった、歯ブラシ、歯磨き粉、保湿クリームなどが連日大活躍する。
同じく機内でもらったポロシャツ(ファーストクラスという文字が入っていて笑える)などに着替え、下着、靴下などを手もみ洗いし、部屋に干す。空気も乾燥しているので朝までには乾くだろう。
残っていたすべての体力を使い果たし、倒れるように寝る。

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