day8. 孫に贈りたいゲーム

D線でMoMAへ。日本人建築家・谷口吉生によるもので、2004年に完成したばかり。概観はグレイガラスと漆黒の御影石。周囲と調和しているといえないこともないが。
20分ほど列に並び、荷物を預け、中に入る。興味を覚えたものだけじっくり見る。

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階段の一部が切り取られて見える構造

ところどころ、子供と引率者たちの集団がある。絵の前に集団で座り込んで、さてこれを見て何を感じる?とか聞いているのだろうか。
頽廃絵画としてナチスの迫害を受け、第一次大戦に参加したことが原因で、神経麻痺になり、58歳で自殺。まさかそんな話をしているわけではないだろう。

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キルヒナーの「街」の前の集団

昼時をやや過ぎたので、館内のカフェの列にならぶ。すると老夫婦が話しかけてきた。日本人の方ですか?
混んでいるし、一緒のテーブルで昼食をどうですかと誘われた。会社を辞めたこと。世界一周をしていること。E3に行ってきたことなんかを話した。お年を召していらっしゃるのに、ゲームの話にも耳を傾けてくださる。E3もご存知でびびる。新聞で得た知識ですと謙遜されていたが凄い。
気が付いたら、世の中に殺戮もののゲームがあふれていて、なんとかしたい。でもほんとは外で遊ぶのがいいと思っている。それがだめなら積み木とか。でもいまさらゲームなしというのは難しいし、頭を使って平和で楽しいゲームを作りたい、と何の脈絡もない話に力が入っていた。
しかしなぜかこんな話に、思いのほか共感してくださり、なんとMoMAのカフェのランチをごちそうになってしまった。途端に恐縮してしまった。次のゲームは孫に買ってあげたいのでぜひ連絡してくださいとのこと。住所を書いたメモを交換する。
ニューヨークに10日間滞在する旅行の途中のようだ。MoMAの近くにホテルをとってあるそうで、うらやましい。演劇を見たいのだけれど、言葉が心配、とおっしゃっていたので、1つしか知らないSTOMPをお勧めし、丁重にお礼を言って、その場を後にする。
美術館には、ところどころ外が見える空間があって、それがなんともほっとする感じでよかった。

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古い建物の工事現場を眺める人々

どんよりとした天気のせいもあってか、アルバート・ジャコメティの細長く、痩せた、寂しい人間像が印象に残った。
MoMAショップに行く。あれもこれも買うかと思っていたが、結局何も買わなかった。商業色が強すぎたのだと思う。

地下鉄でグラウンドゼロへ。ニューヨークは雨だった。都心に巨大な空間が空いている。公園でもなんでもないどうしても不自然な空間だ。まわりを一周してみると20分くらいかかった。

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現在も修復工事中のグラウンドゼロ付近のビル(左手が跡地)

かつてここに巨大なビルがあり、人が働いていて、そこに人が乗った飛行機が衝突し、すべてが崩壊したということを想像するのは難しい。
付近のオフィスからは、帰宅を急ぐ人が地下鉄に向かって足早に歩いている。まるで何もなかったかのようだ。

夜は中華料理をデリで調達。春巻きとカニチャーハンにした。カニがカニカマでがっかりだ。

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デリで買ってきた夕食

ところで、ニューヨークはデリだらけだ。日本のコンビニのような感覚なのかもしれない。たぶんデリというのはデリカテッセン(調理済み食品)の略だと思うのだが、日本のデパチカの秤売り惣菜屋のような感じだ。ニューヨークのデリは、デパチカのように気取ったものではなくて、もっと生活に溶け込んだ感じだ。さすがニューヨークだけあって、中華、インド料理、イタリア料理など各国のデリが軒を連ねる。世界中の料理が食べられそうな勢いだ。
夕食をデリで買って帰る人も多いようで、紙袋を持った人をよく見かけた。

寒すぎるので、ちょっと早いが寝ることにした。

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