day7. 宇宙の中の地球

朝8時に起きる。時差の関係でどうも早朝に起きた感じだ。
B線に乗り、アメリカ自然史博物館に行く。恐竜の化石で有名な博物館のほうには今度行くとして、付属のローズ宇宙センターに行く。巨大な球体が真ん中にある建物だ。

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アメリカ自然史博物館 ローズ宇宙センター

巨大な球体が太陽をあらわしていて、まわりに太陽との大きさの比をあらわす惑星が下げられている。こう見ると太陽はあまりに大きい。
この球体の下半分は、ビッグバンの解説エリア。お椀型のスクリーンを上から覗き込むようにしてみるのが面白い。見終わったあと、下に下りてくるらせん状のスロープは、一歩が1000万年くらいになるように作ってあり、宇宙の歴史が書かれていた。

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拙訳「30,000年の人類の歴史の長さは、宇宙という道の端の、1本の髪の毛ほどの幅に過ぎない」

球体の上半分はプラネタリウム風になっていて、もの凄いCGで、ものすごい演出。しかもトム・ハンクスがしゃべってるので映画のようだった。
これなら日本科学未来館も負けてない感じだ。

球体の下には、閉じた生態系の展示があった。これはスキップの鈴木さんの机の上に置いてあったやつの巨大版だ。凄い。

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EcoSphere

ちょっと解説が必要だろう。このガラスでできた球体はただの水槽ではない。完全に閉じていて、外の世界から隔離されているのだ。中に入っているのは、空気と水、小さい海老、藻、サンゴ、貝殻、砂利だ。
この球体に必要なのは外からの光だけ。光と水中の二酸化炭素によって、藻が光合成をして酸素を発生させる。海老は、酸素を呼吸し、藻を食べ、二酸化炭素と排泄物を発生させる。排泄物は水中のバクテリアによって分解され、藻の栄養分となる。この閉じた世界の中ですべてが循環している。海老は数年間生き続けるという。
ちょうど宇宙の中の地球のようだ。もっと地球に近づけるために、森林の伐採をし、大量の温室効果ガスを排出する人間に相当するものを仕込む必要があるが。

博物館の食堂で、スタジアムホットドッグとサラダを食べる。食べている間中ずっと悩んでいたが、あれを買うことにした。EcoSphereの小型版だ。これからまだドイツに寄って、地球を半周するというのに、どうかしている。単なるこわれものではない。海老に砂利がぶつかったりしないように、慎重に運ばなくてはならない。

EcoSphere、つまり海老を持って、セントラルパークを歩いた。アルトサックスを演奏している人がいて、1ドルを投げ入れた。息継ぎのところで不意に「Thank you」と言ってきてびっくりした。
セントラルパークは、芝生がきれいで、大きな木の枝が歩道の上まで伸びている。案内板がほとんどないせいで、森の中を歩いているようだった。これだけの都会の中に、こんな空間があるとは。

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セントラルパーク

2時間くらい歩き回って、公園を出て、街をさまよいつつ、タイムズスクエアへ。現金が少なくなったので、ATMでお金を引き出す。Citibankの外貨引き出しカードは本当に便利だ。tktsでオフ・ブロードウェイのSTOMPのチケットを半額で買う。手数料は3ドル。安い。
ブロードウェイはミュージカル好きにはたまらないだろうが、僕にはちょっと敷居が高い。オフ・ブロードウェイは、小規模で値段も安いので気軽な感じだ。さらに小規模で実験的な色合いの強い、オフ・オフ・ブロードウェイというのもある。

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当日のチケットを半額で発売するtkts

STOMPまでの時間をつぶすため、SOHOに向かう。よさげな店がならんでいた。クレート&バレルには、僕好みの食器が山のようにあった。ヨーロッパ風だが、アメリカ的実用性も兼ね備えていて、値段も高くない。いくつか買いたかったが、海老をすでに手にぶらさげていて、こわれものをこれ以上持ち歩けない。

地下鉄の構内に特に放送はない。ホームで待ってると、まずレールが鳴り出す。レールがずれているような音がする。電車がやってきてドアが開く。人が乗ればドアがしまる。唯一の車内放送は止まったときだ。ものすごい速さで駅名と乗り換え情報を言っているようだったが、全然聞き取れなかった。
車両のブレーキの制動がそれほどよくないようで、いつも非常ブレーキみたいなとまりかたをする。
日本の電車は、ホームで待っているときも、電車が発車したあとも、走っているときも、到着するときも放送まみれで、その上音楽も鳴ったりして、この街の地下鉄に慣れた人にはかなりうるさいのではないかと思った。

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地下鉄の行き先案内

一旦宿に帰る。かなり冷えてきたので一枚厚着をしてSTOMPへ。
客をひきつける演技、演奏だった。たった一言もしゃべらないので、英語が全然わからない人でも楽しめる。
近くにあった暗い雰囲気のインド料理屋に入る。チキンカレーとナンと水を頼む。
どこから来た、何しにきた、日本で何している、アメリカははじめてか、どこに泊まっているのかなどひっきりなしに聞いてくるインド人だった。カレーはうまかった。

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地下鉄の構内の掲示。今の日本にも必要なことだ

23時を過ぎたので、電車が途中の駅までしかいかず、別の電車に乗り換えて宿にたどりつく。次の電車があと何分後にくるかなんてわからないという状況で待つ。でも、まぁそれでもいいかと思った。宇宙の時間の長さを感じた。

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