day3. オーガスタの鳥

起きて車でフィゲロアに行き、朝食。パンケーキ、ソーセージ、ベーコンと取っていくプロセスに、昨日の慎重さは誰にもない。レジに立つときの小銭の使い方が上達するのが何より楽しい。

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明らかに取りすぎのオカケン氏

旅行では、こういう同じことの繰り返し(パターン)ができると、いつの間にか面白くなっていくことがよくある。所詮、外国というものは訪問者には分からないものだが、同じところに毎日来ることで、ものごとを少し深く観察できる気がするのだ。

もう食えねぇといいながら、現代美術館(MOCA)に向かう。路上のコイン式パーキングに止める。詳しい単位は覚えていないのだが、50セント入れると7分半とか、25セント入れると3分45秒とか、実に妙な単位で時間が増えていく。みんなでありったけのコインを投入しMOCAへ。するとまだ開いてなかった。11時開館らしい。すげー遅くてびっくりする。
時間つぶしにディズニーコンサートホールを見に行く。朝なのにすでに強い日差しが、銀色の建物に反射してまぶしい。町中の歩道のコンクリートが白いせいもあって、サングラスなしでは歩くのもつらい感じだ。

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ウォルト・ディズニー・コンサートホール(設計フランク・ゲーリー)

建物の脇の階段を上ると、そこは建物に付属した小さな公園だった。鳥の鳴き声が聞こえる。僕が毎年欠かさず見ている「マスターズ・ゴルフ」の中継で聞こえてくる鳴き声だ。アメリカではメジャーな鳥なのか。一体何という名前の鳥なのかいまだに分からないが、僕は、開催地ジョージア州オーガスタに因んで、昔から仮に「オーガスタの鳥」と呼んでいる。
日陰もあり、オブジェや植物を見ながら過ごす時間が心地よかった。

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コンサートホール裏のオブジェに見入るフジワラ氏、ヨシオカ氏

10時半になったので、MOCA Storeに行ってみる。相変わらず変なものが置いてある。みんなお土産を買っていた。11時になったのでようやくMOCAへ入る。美術館は、わりと小さめで、今回は映像作品が中心の展示だった。中でも絵の具やオイルがにじむ様子を撮った作品が印象的だった。
ちょうど小学生くらいの子供たちがスクールバスで来ていた。小さいころに現代美術に触れられるなんてうらやましい。

次はIKEAだ。バーバンクへ移動する。途中、凄い渋滞に巻き込まれ、すっかり疲れてしまう。車を止めて、IKEAの正面にあるメキシコ料理屋に入る。

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昼食

タコスとコーンとズッキーニとピラフのセット。レモネードはめちゃくちゃうまかった。
ここでフジワラ氏の食欲がガタンと落ちる。持参した胃薬を贈呈する。
気が付いたら僕が一番食っていた。実におかしい。

3人はIKEAを見るのは初めてだ。最初は様子を見ていたが、途中からめちゃくちゃ買い物バッグに入れだした。彼らもまた、IKEAの魔力にやられたのだ。
オカケン氏はコップを20個以上買っていたのではないだろうか。4個99セントなので無理もないが、それにしても大量に買っていた。IKEAは南船橋に日本1号店が出来るらしい。行く度に、家具を買いたいのを我慢していたので、南船橋に出来ると歯止めが聞かなくなりそうで不安だ。

バーバンクからハリウッドへ。道という道に名前がついているので、慣れてくると、地図1枚でどこへでもいける。日本は集落(ブロック)に名前を付け、集落と集落の間に道があるという捉え方が普通だ。アメリカ人からしてみれば、日本はなぜ道に名前をつけないのかということになろう。日本では道に名前がつけられる場合、「渡辺通り」「よかトピア通り」のように愛称として使われ、住所の一部としては機能していない。国土が狭く、起伏が激しいために、道がまっすぐ作れないという事情もあったのだろう。一方で峠という峠に名前がついていることも興味深い。一度調べてみたいと思っている。

さて、お目当てはハリウッドパーク競馬場だ。競馬に詳しいフジワラ氏もいるが、一番ここを希望したのはヨシオカ氏だった。詩人ブコウスキーが見つめたハリウッドの競馬場という空気というものを、ぜひとも吸ってみたいという希望だった。
車で入っていくと、バレー(Valet)と書いた看板がある。最初その意味がわからず、まわりの様子と係員の話から勘で探り当てる状態だった。バレー・パーキングとは客の車を係員が預かるサービスだ。帰りは札を渡せば、車を持ってきてもらえるので広い駐車場を歩く必要がない。
ちょっと奮発して4人用のBOX席を買い、1レース目は様子を見る。2レース目でなんとヨシオカ氏が見事的中。神がかっている。

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ヨシオカ氏の戦利品

日本の競馬と若干違うところに戸惑いつつ、マークシートを塗り続けるが、材料が少なすぎるということもあって、3レース目以降は残念ながら誰も当てられなかった。
僕は日本の競馬場には行ったことはないが(東銀座の場外馬券売り場のみ)、テレビで見たり、話で聞くところによると、ずいぶん散らかっているらしい。ここは全然散らかっていなくて、競馬新聞を振っている人もいないので、かなりマナーが良いといえる。フジワラ氏が感動していた。
僕はといえば、空港の2本の平行滑走路に向かう飛行機が、競馬場の正面に連なって見えるので、空ばかりみていた。

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真剣なフジワラ氏

十分楽しんだので、9時過ぎに競馬場を後にする。フリーウェイは使わず、フィゲロア通りを94条ぐらいからダウンタウン方向に向かう。夕食を食べる場所を探しながらの移動だったが、通りはマクドナルドとバーガーキングだらけ。この国はこの先どうなっていくのか。
途中で見つけた知らないファミレスに入る。店員の兄ちゃんが陽気で、無料で水もでてきて、とてもいい感じだった。魚のフライ+えびフライ+ポテトを注文する。かなり多いはずなのに、なんかこれくらいの量が普通に見えてくるから恐ろしい。チップは不要のようだったが、サービスがよかったので置いてきた。
フジワラ氏は胃薬2投目。復活なるか。
体調を壊しやすい僕はなぜか平気だ。しかし、15日間の旅行のまだ4日目。ここでやられるわけにはいかないのだ。

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