day1. 5月18日の2日目

椅子に寝ている。寝返りに制限がある。床面の反発力が均等ではない。半端なフルフラットより、完全なエコノミーのシートのほうが寝られる。そういう気がした。まわりの人はこれで眠れているのだろうかとも思った。もちろん、これは一昔前の設備なのだ。秋ごろからこの路線のファーストクラスも新しいものに変わるらしい。
隣の人も早々と寝てしまったし、映画も見れないし、機内は真っ暗になったし、僕もシートを倒して目をつぶって寝たふりをした。途中水を飲みながら数時間。苦行のようだった。ビジネスクラスならもっと映画を見てたり、何か食べてたり、いろんな人がいるはずだ。この日のファーストクラスの乗客は大変な「大人」で、最低限のことをしてすぐ寝るという乗客が多かった。サービスに様々な選択肢があって、いろんなボタンが座席についているので、「子供」の僕はこみ上げてくる好奇心を抑えておかねばならず、つらかった。

やがて、日本では真夜中だが、ロサンゼルスの時間に合わせていくための、擬似的な朝が来た。目がさめたふりをすると、「sh様、お目覚めに何かお飲み物は」とただちに聞かれた。見張られている。
続いて広東粥を頼んだ。これはうまかった。

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朝食(日本時間的には夜食)

入国書類をあわてて書き、着陸。もちろんファーストクラスは降機も最優先だ。エコノミーの乗客を待たせている理由はこれだったのだ。機内でもらえる保湿クリーム、くし、スリッパ、歯ブラシをカバンに入れて降りる。
入国審査にならぶ。両手の人差し指の指紋と、顔写真をデジタルで記録される。人によってはさらにいくつか質問を受ける。これは時間がかかるはずだ。僕がパスポートにスタンプを受ける頃には、すでに人の列はさらに長くなっていた。

荷物を受け取り、税関を通り抜けると、フジワラ氏とオカケン氏がいた。2人ともなぜか徹夜したような顔をしている。同じ飛行機のエコノミークラスだったヨシオカ氏は、当然長蛇の列に巻き込まれ、それからさらに数十分して合流することになる。みな同じ飛行機にすべきだったということは、火を見るより明らかだ。

苦労しながらレンタカー屋にたどり着き、また列にならんでカウンターに立った。日本の免許証、クレジットカード、国際免許証を提示する。インターネットで予約していたのだが、普通のセダンだったので、4人は窮屈ですよ、と言われる。今なら+20ドルでトヨタのハイランダー(日本名クルーガー)にしますよといってきたので、それにした。ものすごく広い駐車場を番号を頼りに進んでいく。ハイランダーは7人乗りのSUVで、なんとそこに止まっていたのはなんと新車だった。
久しぶりの右側通行。感覚を切り替えるのは大変だ。初めての人は、人とすれ違うときに右側によける練習をしたほうがよい。真正面に歩いてくる人を右によけるのは意識的にやらないと難しいのだ。
9th、8thと道に名前が付いていて、それに直角に交わる通りにはFigueroa、Flower、Hope、Grandなどの名前が付いている。京都で四条河原町、千本今出川などと呼ぶのと同じ感覚だ。京都在住のヨシオカ氏は早速、9th、8thを、九条、八条と呼び始める。

ホテルまで30分くらいかかった。腹が減ってどうしようもないので、E3会場に向かう前にチャイナタウンに寄る。入った店は、客は多かったが、料理はひどかった。やたら黄色のタラのフライ・レモンソース。ものすごく甘い。チンゲン菜は、一切切らない束のまま炒められていた。これがアメリカなんだろうか。

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足らない箸を頼むオカケン氏

ミネラルウォーターを切らしていて、ひどい店だった。缶ジュースを飲みながら味付けが狂っている中華を食べる。死ぬ。

E3会場の駐車場が広い。やっと会場に入っても、パスを受け取る場所が以前と変わっていてかなり歩く。受け取るときに会社名を聞かれるのだが、耳が慣れていないフジワラ氏は相手が何を言っているのかわからず、横から助け舟を出した。もう夕方なので、この日は2時間くらいみんなでぞろぞろ歩き回って終わった。

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美しい任天堂ブース

Gameboy microは、事前の発表が一切なかったので衝撃的だった。Gameboyと書いてあったので、一瞬見逃しそうになったくらいだ。しかしアメリカ人の手にはあまりに小さすぎるようでもあった。

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衝撃の新製品

ソニーブースにも入ってみた。PS3は出てないところを見ると、奥に隠されているコーナーで発表されているのだろう。しかし塊魂の続編を見つけると、たちまちそれどころではなくなってしまった。

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We Love Katamariをプレイするオカケン氏

こんなに健全に進化している続編もめずらしい。ゲームには、そのゲームがそのゲームらしくあるための、ほんの5%くらいの重要な要素が隠れていると僕は常に思っている。制作者がそれをしっかり分かった上で、その5%を伸ばしていくのは本当に大変なことだ。
さすがオカケン氏。いきなりものすごい記録を出していた。神の子ではないかと思った。

続いて、ケンシアホールにいく。ケンシアホールは地下にあり、来場者が気づきにくいところにある。それで本当にやっていけるのか?と疑問に思うようなゲームや周辺機器が、自信満々に展示してあるのだ。

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あやしいHMDを試すヨシオカ氏
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あやしいゴルフインターフェイスを試すヨシオカ氏

展示されているものはたいしたことない。いやむしろダメなものが多い。しかし、そのあまりの勢いに酔ってしまいそうになるのだ。これが僕にとって、E3の核心であり、大きな魅力となってひきつけられてしまうのだ。

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アメリカ都心部の日常的光景

E3会場から出て、車であの有名なハリウッドの文字を探しに出かける。ヨシオカ氏の必死のナビゲートに従って、右往左往する。ハリウッドの文字が見える場所はなんとか発見したものの、すでに夕暮れ。カメラではうまく撮れなかったが、それで楽しかったからいいのだ。夕暮れといっても夜8時。サマータイムでだまされる。
メシを食う時間だ。ホテルに戻り、ホテルの横の日本料理屋に入る。さすがにみんな徹夜で動き続けたような感覚で、胃が弱っていたし、ニクを食う感じではなかった。すし&テンプラセットを頼む。オカケン氏がwithout wasabiと言い、他のみんながwith wasabiとそれぞれ言うので、店員が笑っていた。すしは、やたら硬い米で驚くが、味は普通で、ある意味裏切られた。

部屋に帰り、シャワーをあびる。シャワーの穴が小さすぎて、しかもそこから出てくるお湯の勢いがよすぎて、まるで針が飛んでくるようなシャワーだった。日本から持ってきたいつも使っているシャンプーの香りが救いだ。
ここで機内でいただいたスリッパが活躍する。土足が基本のアメリカ人は、風呂場からベッドに向かうとき何を履いているのだろうか。靴?それとも何も履いていないのか。
ともかく、ものすごく長い1日が終わり、倒れるように寝る。

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