day12. ドイツのベネチア

本当は今日はベルリンにでも行こうと思っていた。ベルリンにはユダヤ博物館など、気になる建築があった。しかし鉄道の時刻表を見ているうちに、僕がドイツの国土の広さを過小評価していることに気づいた。この国はあまりに広い。
ちょっとベルリンに行こうというのは、東京にいて、え?新幹線日帰りで福岡行くの?という感じなのだ。
明日はプラハに行くと決めているし、今日はニュルンベルグから1時間で行けるバンベルグに行くことにした。宿の主人の話では、第二次大戦で奇跡的に空襲を免れた街らしい。

ニュルンベルグから乗った電車はなぜか冷房が効いている。おお、さすがにこの暑さで冷房を入れる気になったかよしよし、と思いながら、快適な移動。バンベルグ駅で降りて、水を買い、教会の尖塔を目指して炎天下の中を歩き出す。

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街のどこからでも見える教会

ところがまっすぐにはたどり着けないようで、右へ左へちょっとまわり道になりながら歩く。普通はバスを使って移動するような距離だ。吊り橋を渡ったところで、たまらずアイスクリームを食べた。コーンの上にバニラアイス、さらにその上にチョコアイスを乗せる。買って1分もしないうちに、派手に解け始める。僕の想像していたドイツとはあまりに気温が違いすぎた。

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急流を上ろうとするおじさん

水を飲みながら坂を上り、教会に駆け込むと、そこはまるで冷房が効いているようにひんやりした空間だった。巨大な石の建造物の中では、そう簡単には気温が変化しないのだろう。13世紀の建造物の中で、荘厳な雰囲気に圧倒されながら、涼んだお礼に1ユーロばかり寄付をして駅に戻った。

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古い教会と新しい雲

地元の人は普通にテラス席で昼食をとっていたが、さすがに僕は外で何かを食べようという気にはならなかった。日陰というだけの駅の構内で、トマトとチーズのパンに、スプライトを頼んだ。スプライトがぬるい。
パンはうまい。旅行するたびにヨーロッパのパンをうまいと感じる理由もいまだに分からない。日本のパンとそんなに違いがあるとも思えないのだが。

バンベルグは川が印象的な小さな美しい街だ。ドイツのベネチアと呼ばれているらしいが、それはいい過ぎと思った。

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道路で遊んでよし?

行きの準急列車は冷房が効いていたので、めちゃくちゃ期待をして、帰りの電車に乗り込んだ。炎天下を走る鉄の塊に閉じ込められるのだけは勘弁して欲しいと心から願っていた。
しかし冷房はなかった。開け放った窓からは、焼けた枕木と石の香りが、生ぬるい風とともに流れ込む。汗だくになりながら温室列車で1時間弱、ニュルンベルグに戻ってきた。

ドイツ鉄道の窓口に行き、英語がほとんど通じない係員に当たる。
私は望んでいる。プラハ。行きたい。ラウンドトリップで。トゥモロウに。
レールパスを見せ、鉄道地図を開き、知ってそうな単語を1つずつゆっくり言うと、なんとか理解してくれたようだ。
すると、係員は地図上のある駅を指差し、何かを伝えようとしている。
ボーダー、ボーダー。どうやら国境の駅であると言っているようだ。
ここから、プラハまでのチケット、アイ・ギブ・ユーと言っている。なるほど、チェコの区間のチケットをここで発行してくれるということか。オーケー、オーケー。
無事チケットが発行される。
3ユーロ20セントというから、異常に安いなと思いながらも差し出す。
すまない、英語を間違った、30ユーロ20セントだ、とおっしゃる。凄い間違いだ。
ともかくプラハ行きのチケットは無事手に入った。駅の両替屋で、ユーロをチェコの通貨コルナに両替する。紙幣のデザインがすでによすぎるではないか。期待が膨らむ。

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赤いドイツ鉄道

宿に戻り、おととい行った湖畔のレストランに向かった。バテ気味だったし、あれでいいやと思ったのだ。煮込みうどんでいいやと。
スパゲティとカプレーゼを頼んだ。カプレーゼを頼んだときに、片言の英語で、You hungryと言われたので、Yes I'm very hungry. と返して、その場がなごんだ。でも後から考えるとたった2品だ。2品頼んだだけでハラペコと判断されたのも不思議だ。
それから、黒くないビールをどうやって頼むかが課題だったが、あちこちでビールを頼んでいるうちに、ジョッキには黒いビールが入っていて、細長いグラスには黒くないビールが入っていることが観察できていた。つまり、ジェスチャーでグラスの形を指定して、ビールの種類を暗に指定したのだ。この作戦はたいへんうまくいった。

腹ごなしに湖畔を一周する。しかしあまりに巨大な湖だっただめ、腹ごなしというよりは、しっかりとしたウォーキングになってしまった。3日連続の真夏日ですっかり日焼けした。

夜、宿でテレビをつけた。テレビを見るのは久しぶりだ。
ドイツ語なので、全然意味は分からないが、アメリカナイズされた食生活のせいで肥満が増えている、という番組はなんとなくわかった。
次に、侍の格好をした司会者が出て日本の紹介をしている番組を見た。凄い誤解か、またはかなりの悪ふざけと思った。
そして、全員がバイクに乗ってサッカーする番組を見ていると、さすがにうとうとしてきたので、ベッドに向かった。
その夜、かなり妙な夢を見たことはいうまでもない。

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