day11. ドイツとドラクエ

朝食のチーズがうまい。なんという名のチーズなのかさっぱりわからないが、出てきた5種類くらいのチーズは全部うまかった。ここがドイツだからそう思うのか。それとも本当にうまいのか。それが分からない。この価値感が歪む感じがたまらない。
ゆでたまごはまず上をナイフで切り取り、それからスプーンですくって食べるのだと教えられた。ゆでたまご立てがどの家にもあるという。これはこれで食べやすかった。

出かけようと思ったが、休日なので電車がびっくりするほど少ない。極端に減るのだ。いきなり遠出をしてもよかったのだが、せっかくなのでニュルンベルグを隅から隅まで見てみようと思った。各駅停車でニュルンベルグhbfに行く。ニュルンベルグは城壁で囲まれた都市だ。駅からの地下歩道を抜けるともう城壁の中だった。

ドラクエのアレフガルドにあったメルキドという城砦都市を思い出す。しかし、ニュルンベルグにはゴーレムを倒さなくても入れたし、「うわさでは、ロトのよろいは人から人へ」と教えてくれる人もいなかった。
街はすべて石でできていて、あのバーガーキングまでが、昔からそこにあったように見える。

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バーガーキング城

街の奥にあるカイザーベルグ城に入る。城の1階でチケットを買って、塔にのぼる。何しろ塔にのぼるなんて、ドラクエ2以来のことだ。そういえばあの時も近くにあった城の名前はムーンブルクだった。ドラクエの街の名前のネーミングなど、大人になってから作者の仕事の細かさに気づくということは、世の中あまりに多すぎる。

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城の塔から見たニュルンベルグ

それはあまりに美しい風景だった。しかも、歴史的な建物をただそのまま保存しているだけではない。テーマパークでもない。観光用に残してあるのではなくて、生きて機能しているのだ。
京都に行ったときのことを思い出した。ヨシオカ氏と南禅寺の三門(山門)にのぼり、「絶景かな」と言おうとしたが、そこからの風景にはなんと高層ビルがあったのだ。一体どういうことなのか。

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自転車で出かける親子

街中にサッカー選手のオリバー・カーンみたいな人がうようよいる。暑いせいか、みんなカーンに見えてくる。
スペイン人の観光客に声をかけられて、写真撮ってくれと言われる。どこから来た。日本だ。東京か京都か。東京。俺は京都になんとか君という知り合いがいるぞ。じゃあな。
そんな会話だった。
アジア系の人にも声をかけられた。どこから来た。日本だ。おお、俺は台湾だ、おまえも撮ってやろうか。
そんな会話だった。

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教会前の広場の果物屋

木のおもちゃ屋に立ち寄る。田川ラメ夫さんにせがれ殿が誕生したということを聞いていたので、木製の赤ちゃん用おしゃぶり落下防止ストラップを買う。最初はその商品が何なのかわからなかったが、店員の必死の説明で分かった。説明にはドイツ語もかなり混じっていたが、会話は気持ちだ。

街の温度計を見たら32度だった。異常だ。冬のニューヨークからいきなり夏に来たようだった。あまりに暑くて昼食をまともにとる気がしなかった。アイスコーヒーと、アイスクリームにした。アイス4玉とフルーツのパフェのようなもの。全部食べてしまった。普段なら考えられないことだ。

テラス席からは教会が見える。時報代わりに鐘がなる。毎時15分には1回、30分には2回、45分には3回鳴る。0分にはちょっと豪華なやつが、12時にはめちゃくちゃ凄いやつが鳴る。鐘の音で時刻を知るなんてうらやましい。

ぶらぶら歩いていたが、夕方6時になったので、外はまだかなり明るいが夕食とした。ソーセージとポテトとザワークラウト(酢キャベツ)、サラダとビール。今日のソーセージは、この地域特有の短いニュルンベルグソーセージだ。これはうまい。

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ニュルンベルグソーセージ(本当は6本)

帰りの電車では車内放送が聞き取れるようになってきた。駅名らしき部分がわかる。降り口が左か右かもわかる。凄い進歩だ。同じことを何回も繰り返すというよりは、いかに問題意識をもって聞くかということだ。

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ワールドカップに向けて盛り上がっている

電車が暑い。30度、冷房なし。外にいたほうが涼しいのだ。5月だから冷房なし、という固定されたルールで運用されているのかもしれない。日本なら大騒ぎになるところだ。
歩きすぎているはずなのだが、この旅行は最初から歩きすぎてきたので、もうこれくらいではなんともない感じだ。
暑さでぐったりしながら宿に戻った。僕はよく人から植物のようだと言われる。駄目なときとそうでないときの差が見た目にわかりやすいということだろう。
シャワーを浴びて水を1本飲み、倒れるように寝た。

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