隣の銀河は近い

宇宙は初め、超高温で超高密度の火の玉のようなところでした。ビッグバンによって凄い勢いで膨張をはじめます。宇宙は現在も膨張を続けています。

さて、僕らの宇宙はこの先どうなるのでしょうか。膨張しているもののストーリーとして考えられるのは、このまま膨張が続くか、途中で止まって収縮するかです。この運命は、どれだけ宇宙に物質があるかにかかっています。

物と物は重力で引き合います。膨張にブレーキをかけるだけの物質が宇宙にあれば、いつか重力が打ち勝って膨張が止まり、その後、ものすごい勢いの収縮(ビッグクランチ)がはじまって、最後は1点に戻るでしょう。

もしそんなに物質がなければ、膨張は永遠に続きます。まわりの銀河があまりに遠ざかってしまうので、夜空は閑散となり、やがて真っ暗になります。僕らの銀河系もガスとブラックホールが残され、やがてそれも蒸発してしまうでしょう。

それにしても、宇宙の果てはどこなんでしょう。見えてるすべての銀河までの距離を測って、一番遠いところが宇宙の果てなのでしょうか。でも、銀河が光の速さより速く遠ざかっていたら、その銀河の光が僕らに届くことはないので、宇宙の地平線は見えても、その先はわからないのかもしれません。

一方、近くの銀河と、遠くの銀河の遠ざかる勢いを比較して、宇宙の膨張の勢いを調べようとする学者があらわれました。しかしそれは、光の強さが一定で、とてつもなく明るい星をいくつも見つけなければならないことから、到底無理じゃないかと言われてきました。しかし地道に観測を積み重ね、それをやってのけた人が現れました。

僕らの宇宙の膨張にはブレーキがかかっていると誰もが考えていましたが、この観測によって、宇宙の膨張は逆にどんどん加速しているという、衝撃的なことが分かりました。
加速させるほどのエネルギーは一体どこにあるというのでしょう。学者は真空中にあるといっています。真空は何もないところと学校で習いましたが、実はそうではなかったようです。

というわけで今、僕らの宇宙の年齢は、130億歳くらいといわれています。
今この瞬間にも、もの凄い勢いで膨張が加速しています。あと10億年もすると、真っ暗になってしまうかもしれません。大変です。

この広大な僕らの宇宙、さらには僕らの宇宙じゃない宇宙は、部分の説明をなんとか理解できたとしても、全体としては想像できる範囲をはるかに超えています。
その中の僕という存在のあまりに小さいこと。自分の立ち位置を探りながら仕事をし、形而上的思考に明け暮れながら、人と近づいたり離れたりしている切なさ。

しかし、空虚に思えても、まだ隣の銀河は近いのです。
今夜も夜空に見える宇宙は美しい、のかな。

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